メジャー完全試合の歴代達成者一覧!日本人未踏の壁と大谷やダルの軌跡
150年を超えるメジャーリーグ(MLB)の歴史において、過去にわずか24回しか達成されていない究極の大記録「完全試合(パーフェクトゲーム)」。安打はおろか、四死球や失策による出塁すら一切許さず、先発投手が1人で打者27人を完璧に封じ込めるこの偉業は、野球界において最も達成が困難な個人記録として君臨しています。
野茂英雄氏のパイオニア精神から始まり、ダルビッシュ有投手や大谷翔平選手らが海を渡りトップクラスの実績を積み重ねてきた日本球界。果たして、この最高峰の領域に到達した日本人投手は存在するのでしょうか。ノーヒットノーランとの決定的な違いや歴代達成者24人の系譜、そして「あと1人」まで迫った伝説の死闘まで、現場感あふれる視点で徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:MLB150年超の歴史で完全試合を達成したのは歴代わずか24人であり、最新記録は2023年のドミンゴ・ヘルマン(ヤンキース)。
- 要点2:走者を1人も出さない過酷な条件ゆえに日本人投手の達成者は未だゼロだが、ダルビッシュ有が9回2死まで迫る「未遂」のドラマを演じた。
- 要点3:大谷翔平や佐々木朗希といった至宝の存在により、MLB史上初となる日本人による完全試合達成への期待が2026年現在も熱狂を呼んでいる。
【完全試合とノーヒットノーランの違い】パーフェクトゲーム達成条件と圧倒的な難易度
野球における記録の最高峰として並び称される「ノーヒットノーラン(無安打無得点試合)」と「完全試合(パーフェクトゲーム)」。両者の間には、記録の難易度において天と地ほどの開きが存在します。
ノーヒットノーランの達成条件は「相手チームに1本も安打を許さず、無失点で勝利すること」です。そのため、四死球でランナーを出したり、味方の守備エラーで出塁を許したりしても、安打さえ打たれなければ記録は成立します。場合によっては失策や押し出し四球などによる失点があってもノーヒッターと認定されるケースすらあります。
対して、完全試合の達成条件は極限まで研ぎ澄まされています。
- 9イニング以上を1人で投げ切る(コールドゲームや継投による記録は公式認定外)
- 被安打ゼロ・無失点
- 与四球・与死球ゼロ
- 味方守備のエラーによる出塁ゼロ(振り逃げや打撃妨害も不可)
- 打者27人を1人も出塁させずに27アウトで終了させる
MLBの公式戦はこれまで通算で23万5,000試合以上開催されてきましたが、完全試合が達成されたのはわずか24回。確率に換算するとおよそ1万試合に1回(約0.01%)という天文学的な数字です。投手の球威や制球力はもちろんのこと、味方の超美技、審判のストライクゾーンのブレ、さらにはイレギュラーバウンドを招かない運まで、すべての要素が完璧に噛み合わなければ成し得ない奇跡の記録といえます。
【歴代達成者24人の系譜】メジャーリーグ完全試合達成者一覧と最新記録の真相
1880年に初めて記録されて以来、完全試合を達成した投手はMLBの歴史上で24人のみです。その顔ぶれには、球史に名を残す大殿堂入り投手から、普段は目立たない技巧派右腕まで多彩なドラマが刻まれています。
◆ メジャーリーグ完全試合の歴代達成者一覧(全24名)
- リー・リッチモンド(ウースター・ルビーレッグス)|1880年6月12日
- ジョン・ウォード(プロビデンス・グレイズ)|1880年6月17日
- サイ・ヤング(ボストン・アメリカンズ)|1904年5月5日
- アディ・ジョス(クリーブランド・ナップス)|1908年10月2日
- チャーリー・ロバートソン(シカゴ・ホワイトソックス)|1922年4月30日
- ドン・ラーセン(ニューヨーク・ヤンキース)|1956年10月8日(※ワールドシリーズ第5戦)
- ジム・バニング(フィラデルフィア・フィリーズ)|1964年6月21日
- サンディ・コーファックス(ロサンゼルス・ドジャース)|1965年9月9日
- キャットフィッシュ・ハンター(オークランド・アスレチックス)|1968年5月8日
- レン・バーカー(クリーブランド・インディアンス)|1981年5月15日
- マイク・ウィット(カリフォルニア・エンゼルス)|1984年9月30日
- トム・ブラウニング(シンシナティ・レッズ)|1988年9月16日
- デニス・マルティネス(モントリオール・エクスポズ)|1991年7月28日
- ケニー・ロジャース(テキサス・レンジャーズ)|1994年7月28日
- デビッド・ウェルズ(ニューヨーク・ヤンキース)|1998年5月17日
- デビッド・コーン(ニューヨーク・ヤンキース)|1999年7月18日
- ランディ・ジョンソン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)|2004年5月18日(※40歳での史上最年長記録)
- マーク・バーリー(シカゴ・ホワイトソックス)|2009年7月23日
- ダラス・ブレイデン(オークランド・アスレチックス)|2010年5月9日
- ロイ・ハラデイ(フィラデルフィア・フィリーズ)|2010年5月29日
- フィリップ・ハンバー(シカゴ・ホワイトソックス)|2012年4月21日
- マット・ケイン(サンフランシスコ・ジャイアンツ)|2012年6月13日
- フェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)|2012年8月15日
- ドミンゴ・ヘルマン(ニューヨーク・ヤンキース)|2023年6月28日
直近の完全試合最新記録となったのは、2023年6月28日にオークランドで行われたアスレチックス戦でドミンゴ・ヘルマンが樹立した快挙です。2012年のフェリックス・ヘルナンデス以来、MLBで実に11年間(3,969日)途絶えていた完全試合の沈黙を破り、ヤンキースの投手としては24年ぶり、ドミニカ共和国出身選手としては史上初の達成となりました。ヘルマンはこの日、わずか99球・9奪三振の省エネ投球で打者27人を完璧に封殺しています。
MLB完全試合に日本人はいるのか?野茂英雄のノーヒッターから続く挑戦の系譜
日本のファンにとって最も気になる疑問――「日本人メジャーリーガーで完全試合を達成した投手はいるのか?」という問いに対する答えは、残念ながら現在も「0人」です。
しかし、完全試合の一歩手前である「ノーヒットノーラン」に目を向ければ、日本人投手はメジャーの歴史に燦然と輝く金字塔を打ち立ててきました。
その筆頭が、トルネード旋風でMLBの扉を切り拓いた野茂英雄氏です。野茂氏はドジャース時代の1996年9月17日、標高が高く「打者天国」として投手に最も過酷とされるクアーズ・フィールド(ロッキーズ戦)で自身初のノーヒットノーランを達成。さらにレッドソックス移籍直後の2001年4月4日(オリオールズ戦)にも2度目の無安打無得点試合を達成しました。アメリカン・ナショナル両リーグでのノーヒッター達成は、MLB史上でもわずか5人しか成し遂げていない歴史的快挙です。
また、2015年8月12日にはマリナーズの岩隈久志投手がオリオールズ相手にノーヒットノーランを成し遂げています。日本人投手の卓越した制球力とスプリット(フォーク)を軸とした投球術は、メジャー屈指の強打者たちを幾度となく手玉に取ってきました。しかし、四球ひとつすら許されない「完全試合」の頂は、依然として日本人投手にとっての未踏峰として立ちはだかっています。
「あと1球」に泣いたダルビッシュ有の完全試合未遂と大谷翔平の快投劇
日本人投手の中で、最も完全試合の頂に肉薄したのがダルビッシュ有投手です。今なおファンの間で語り草となっているのが、2013年4月2日(現地時間)、レンジャーズの一員として臨んだアストロズとの開幕カードでした。
この日のダルビッシュ投手は圧巻の投球を披露。鋭く曲がり落ちるスライダーとノビのある直球を武器に奪三振の山を築き、1回から8回まで打者24人を完璧に退けます。9回裏も先頭打者と続く2人目を連続三振に仕留め、「26者連続凡退・14奪三振」。歴史的偉業まであと打者1人、あとアウト1つという極限状態を迎えました。
迎えた27人目の打者、マーウィン・ゴンザレス。カウント2-2からの投球を捉えられた打球は、皮肉にもダルビッシュ投手の股間を抜けてセンター前へと転がるクリーンヒットとなりました。スタジアムが息を呑んだ瞬間に訪れた終幕。あと1アウトで完全試合を逃したものの、111球を投げ抜いたダルビッシュ投手には敵地ファンからも惜しみないスタンディングオベーションが送られました。
二刀流として球史を塗り替え続ける大谷翔平選手もまた、ノーヒッターの領域に迫る圧倒的な投球を披露しています。エンゼルス時代の2022年9月29日(アスレチックス戦)、大谷選手は初回先頭に出した四球以降、8回2死まで1本の安打も許さない支配的なピッチングを展開。惜しくも8回2死から内野安打を打たれて偉業達成は逃したものの、メジャーの舞台でノーヒッターや完全試合を狙える規格外のポテンシャルを証明しました。
佐々木朗希の「完全試合」に寄せられた米国の熱狂とMLBでの可能性
日本国内における完全試合の記憶として鮮烈なのが、千葉ロッテマリーンズ時代の佐々木朗希投手による2022年4月10日の快挙です。オリックス・バファローズを相手に達成したこの試合は、プロ野球(NPB)において28年ぶりとなる完全試合であり、20歳5か月という史上最年少記録でした。
特筆すべきは、世界記録となる13者連続奪三振、そしてNPBタイ記録となる1試合19奪三振という圧倒的な奪三振率です。さらに佐々木投手は、続く4月17日の日本ハム戦でも8回まで完全投球(102球で降板)を続け、「2試合連続・計17イニング連続完全投球」という前代未聞の投球を演じました。
この異次元のパフォーマンスに対する米国の反応は凄まじく、MLB公式サイトや米大手スポーツ局ESPNはトップニュースで報道。「地球上でこれまでに投げられた最も圧倒的な試合」「MLBのどのエースでも不可能な領域」と大絶賛され、全米スカウト陣の視線は一気に釘付けとなりました。最速165キロを誇るストレートと落差の大きいフォークボールを持つ佐々木投手がMLBへ挑戦した今、日本人投手初となるメジャー完全試合への期待は最高潮に達しています。
【メジャーリーグの完全試合】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:完全試合の投球数として歴代で最も少なかった記録は何球ですか?
A1:近代野球以降(1900年以降)の最少記録は、1908年にアディ・ジョスが記録した74球(推定)や、1944年のチャーリー・ロバートソンの90球とされています。球数が正確に計測されている近代以降の実数値では、1999年のデビッド・コーン(ヤンキース)が記録した88球が極めて少ない球数として有名です。
Q2:ポストシーズン(プレーオフやワールドシリーズ)で完全試合を達成した投手はいますか?
A2:はい、歴史上ただ1人だけ存在します。1956年のワールドシリーズ第5戦において、ニューヨーク・ヤンキースのドン・ラーセンがブルックリン・ドジャースを相手に達成しました。ポストシーズンという極限の緊張感の中で達成されたこの完全試合は、野球史上最大の伝説のひとつと称されています。
Q3:なぜ近年、メジャーリーグで完全試合を達成するのが難しくなっているのですか?
A3:現代野球における「先発投手の球数制限(100球前後での降板)」や「フライボール革命による強打者の長打狙い」、そして「精密なデータ分析」が背景にあります。先発が打者3巡目を投げるリスクを嫌って早期継投を行うチーム戦略が増えたため、1人の投手が27アウトを奪い切る機会自体が激減していることが難易度を高めています。
Q4:継投による「完全試合(コンバインド・パーフェクトゲーム)」はMLB公式記録として認められますか?
A4:複数投手の継投による「ノーヒットノーラン」は公式記録として認められますが、MLBの現行ルール上、完全試合は「1人の投手が完投すること」が必須条件です。仮に複数投手が27人連続でアウトを奪って勝利した場合でも、公式記録上は「継投によるノーヒットノーラン」扱いとなります。
まとめ:日本人メジャーリーガーが挑む「前人未到の27アウト」
150年を超えるメジャーリーグの歴史において、わずか24人しか辿り着けていない完全試合。それは投手の技術的極致とチーム全体の守備力、そして強運が重なり合って初めて生まれる奇跡の結晶です。
日本人投手は野茂英雄氏のノーヒッターから始まり、ダルビッシュ有投手の「あと1アウト」、そして大谷翔平選手や佐々木朗希投手といった世界水準の才能へとバトンを繋いできました。球数管理や分業制が徹底される現代のMLBにおいて、1人で27人を完璧に封じ込める完全試合の価値はますます高まっています。日本人投手による前人未到のパーフェクトゲーム達成という歴史的瞬間が訪れるその日を、世界中のベースボールファンが固唾を呑んで待ち望んでいます。 (出典: メジャーリーグ 完全 試合(Yahoo!ニュース))